2026/03/17 00:07

このたび、野津田焙煎研究所の「野津田ブレンド」が、町田の地域ブランド制度であるまちだ名産品に認定されました。
認定しているのは町田市名産品等推奨委員会で、町田を代表する商品として品質や地域性などを総合的に評価して選ばれる制度です。
少し時間が経ってしまいましたが、ようやく落ち着いたので、このことについて少し書いてみようと思います。
正直なところ、認定の連絡をいただいたときは「本当にうちでいいのだろうか」という気持ちが最初にありました。
野津田焙煎研究所は、大きな会社でもなければ、長い歴史を持つ老舗というわけでもありません。町田の片隅で、日々コーヒーを焙煎している小さな焙煎所です。
それでもこうして町田を代表する商品のひとつとして選んでいただけたことは、素直にとても嬉しい出来事でした。
野津田ブレンドという名前
「野津田ブレンド」という名前は、焙煎所があるこの土地の名前から付けました。
コーヒーの名前は、生産国や農園名、華やかなイメージのものが多いですが、私は自分たちの場所の名前を付けたいと思っていました。野津田という地名は、町田の中でもどちらかというと静かな場所です。自然も多く、どこかゆったりとした空気が流れています。
派手さはないけれど、落ち着いた時間が流れている場所。
そんなこの土地の空気をコーヒーの名前として残したいと思いました。
ブレンドという難しさ
コーヒーの世界では、シングルオリジン(単一産地)のコーヒーに注目が集まることが多いですが、私自身はブレンドにも大きな魅力があると思っています。
実は、この考え方にはきっかけがあります。
私の父は、鹿児島のお茶農園で働いていました。その道60年以上という父の友人にお話を伺ったことがあります。
そのとき、こんな話をしてくれました。
「美味しいブレンドを作れるかどうかが腕の見せどころ。いろいろな品種の良いところを組み合わせて、自分なりの味を作るのが楽しいんだよ。」
その言葉を聞いたとき、当時まだシングルオリジン一辺倒だった自分の考え方が、音を立てて崩れたような気がしました。単一の個性を楽しむコーヒーももちろん素晴らしい。けれど、異なる個性を組み合わせて新しい味を作るという面白さも、同じくらい魅力的なのではないか。
それ以来、ブレンドというものを改めて真剣に考えるようになりました。
甘さ、コク、香り、余韻。
それぞれを少しずつ整えながら、毎日飲んでも疲れない味を作る。シンプルに見えて、実はとても奥が深い作業です。そしてブレンドは、焙煎や豆の状態、季節などによっても微妙に表情が変わります。そのため、同じ味わいを維持することもまた大切な仕事になります。
野津田ブレンドが目指した味
そんなふうにブレンドについて考えるようになってから、少しずつ自分なりの味を探すようになりました。目指したのは、特別な日に飲むコーヒーというよりも、毎日の生活の中に自然と溶け込むコーヒーです。
朝の一杯。
仕事の合間の一杯。
食後にほっとする一杯。
気がつけばまた飲みたくなる。そんなコーヒーを作りたいと思いました。甘さ、コク、香りのバランス。飲んだときの安心感と、最後にふっと残る余韻。そうした要素を一つずつ整えながら作っていったのが野津田ブレンドです。派手さはないかもしれませんが、毎日飲んでも飽きない味。
そんなコーヒーを、この町の名前をつけて作りたいと思いました。
地元のコーヒーとして
今回「まちだ名産品」に認定されたことで、あらためて感じたことがあります。それは、このコーヒーが地域の中で育ててもらっているということです。
お店に来てくださるお客様。
イベントで出会う方々。
SNSで応援してくださる方々。
そうした方々がいなければ、このコーヒーはここまで続いていなかったと思います。小さな焙煎所ですが、少しずつでも町田のコーヒー文化の一部になれていたら嬉しいです。
名産品という言葉
「名産品」と聞くと、歴史のある伝統的なものをイメージする人も多いかもしれません。もちろんそういったものも大切ですが、同時にこれから地域に根付いていくものもあっていいのではないかと思っています。コーヒーは場所を選ぶ農作物なので、町田では中々栽培できません。
ですが、焙煎や味づくりはその土地の文化になります。
どこで焙煎され、どんな考え方で作られているのか。
そこには確かに地域性があると思います。
これから
今回の認定は、とてもありがたい出来事ですが、同時に「これからもちゃんと作り続けなければ」という気持ちにもなりました。コーヒーは毎日の飲み物です。だからこそ、いつ飲んでも安心できる味であることを大切に、これからも丁寧に焙煎を続けていきたいと思います。
そしてもし町田に来ることがあれば、そのときに
「野津田ブレンド」を思い出してもらえたら嬉しいです。
最後に、いつも支えてくださっている皆さまに感謝します。これからも野津田焙煎研究所をよろしくお願いします。
